まえおき
小学校の宿題といえば、国語の教科書の音読って定番ですよね。
ママ~音読めんどくさい。
音読がめんどくさいっていうのはわかるけど、意味ないことを学校もやらせないでしょ?
でも音読ってどんな効果があるの?
文科省が音読を重視する理由
公立小学校の宿題に音読がでるということは、文科省が音読をごり押ししているということです!
以下、文科省のホームページより抜粋しています。
音読によって,国語力や独創力とかかわる脳の場所が特に活性化するという脳科学の知見もあることから,積極的に音読を取り入れていくことが大切である。
また,音読することによって,漢字の読みを覚えたり,文章の内容を確実に理解したりできる。
さらに,音読や暗唱を重視して,それにふさわしい文章を小学校段階から積極的に入れていくことを考えるべきである。特に日本の文化として,これまで大切にされ継承されてきた古典については,日本語の美しい表現やリズムを身に付ける上でも音読や暗唱にふさわしいものであり,情緒力を身に付け,豊かな人間性を形成する上でも重要なものである。
引用:文部科学省「国語力を身に付けるための国語教育の在り方」
私は音読の育脳効果ばかりに注目していましたが(下記に記載)、昔から親しまれてきた素敵な日本語の文章に触れることで、「日本語力を高める」という部分にとても納得しました。
日本語の美しい表現、リズムを身につけるためには、音読しかない!
日本語ネイティブの親が、そのリズムを教えてあげないと、子どもは学べない!
コミュニケーション能力、つまり非認知能力を高めるためにも音読は必要!
国語力を上げるための音読方法
文科省がすすめる音読方法を調べてみました。
文科省のホームページに、
- 「音読」は、正確・明晰・流暢(正しく・はっきり・すらすら)を目標とする。
- 文学的文章・説明的文章とも、すらすら読めることがその後の学習の前提である。すらすら読めること自体が国語学力である。
- 音読の評価ポイントとして、姿勢がよい/正しく本を持っている/よく聞こえる/発音が明晰だ/間(ま)のとり方がよい/速さが適当だ、などがある。
- 声に表情をつける。冷たい声・温かい声、硬い声・柔らかい声、とがった声・穏やかな声、濁った声・澄んだ声、沈んだ声・張り切った声などで読む。
などの指導ポイントが載っていました。
これは、授業をする先生達向けのアドバイスなのですが、家で子供の音読をみるときにも使えますね!
私の尊敬する高濱氏が代表の花まる学習会も、音読を重視しています。
花まる学習会の授業では、四字熟語や古典などの教材を使った音読の時間があります。
古典を音読することで、日本語の響きの美しさ、リズムのすばらしさを「音」としてかみしめ、時代を超えて語り継がれる力強い言葉を基礎教養として身につけ、五感を育む。みんなで音読することで、子供たちは「音」で覚えてしまうそうです。
同代表の高濱さん曰く、「正しい音読のできる子は、成績の伸びもいい」そうです。
音読について、わたしがよく思うのは、初読でどれだけ完成された読みができるかということでしょうか。
誰かに新聞や絵本を読んであげるとき、とくに練習しなくても丁寧にすらすら読める。
そういう訓練を積ませることが必要だと思っています。
引用元:花まるコラム「高濱コラム 触発しあう」
息子を花まる学習会に通わせている理由☟
斎藤孝先生の「声に出して読みたい日本語」シリーズ☟
音読の育脳効果
次は、音読を育脳の観点から調べてみます。
新聞や本を読むとき、声を出して読むか出さないで読むかで、脳のはたらきがちがいます。
音読しているときは、前頭前野をはじめ、いろいろなところがはたらいていることがわかります。
引用サイト:信濃毎日新聞松本専売所WEB様「音読しているときの脳はフル回転」
前頭前野は判断力や思考力を司る、脳の司令塔ともいわれる大切な部分です。
こちらのサイトで、音読、黙読、考え事をしている時、ゲームをしている時、テレビを見ている時、脳のどの部分が働いているか、図で分かりやすく説明されています。
音読をするときは脳を全体的につかうようです。
脳科学者の川島教授も、音読は大脳の約70%の神経細胞を活性化させ、脳機能を高めるとおっしゃっています。教授曰く、音読直後の記憶容量も20%~30%増えるのだとか…。
中学受験の時事問題対策として、新聞の音読もおススメ!
脳の活性化以外にも、
- 知識や語彙が増える
- 本が好きになる
- 表現力がつく
などの効果が期待されます。
ただ、それらは黙読でも期待される効果かな?と考えます。
音読vs黙読
ネットで検索すると、黙読より音読をして単語を覚えた方がテストの結果が良かったなどの情報もありましたが、対象が少ないため信頼度は高くないと考えます。
福岡教育大学 森敏明さんは、「文章記憶に及ぼす黙読と音読の効果」という論文の中で、
文章を黙読した場合と音読した場合とでは、文章の記憶及び読解の成績にどのような違いが生じるかという問題を、大学生を被験者として検討した。その結果、音読をすることは、文章を逐語的に記憶する場合には有効であるが、その効果は一時的であることがわかった。
これに対し、黙読することは、文章を逐語的に記憶するというよりも、文章の内容を体制化して記憶する場合に有効であり、その効果は音読の場合よりも永続的であることがわかった。
一方、黙読するか音読するかということによって、読解の成績には顕著な差はみられなかった。
引用論文 福岡教育大学 森敏明さん「文章記憶に及ぼす黙読と音読の効果」
長い目でみると、文章の記憶ということに関しては音読の方が優位とは限らないようです。
一方、子供は頭の中で思考することが苦手、そのため黙読より音読の方が内容を正しく読み取る力が高くなるという研究結果もあるそうです。
上記の論文(文章記憶に及ぼす黙読と音読の効果)のサンプルは大学生でした。もしそれが小学生だったら、違う結果がでていたかもしれません。
育脳・暗記のための音読方法
- 音読のボリュームは、つぶやき程度がいい(声をだすことに集中すると内容が頭に入りにくい)。
- 速く読めば読むほど脳が活性化する!
- 覚えたい内容の本(新聞)を選んで音読する。
- 普段触れないような語彙、文章を読む。
- 勉強前に読む(音読をすると、記憶の容量が2~3割増えるため)。
脳の活性化を目的とした音読では、読み方の上手い・下手は関係なく、親は子供が音読したことをすぐに褒めるのが大切だそうです(即時フィードバック効果)。これで子供の脳は爆発的に活性化するそうです(川島教授)。
文科省がすすめる「国語力を上げるための音読方法」とはかなり違います!
音読の目的に合わせて読み方を変えるのがおすすめ!
子どもの音読を聞くときに大切なこと
読み方を間違えても、訂正せずに最後まで聞いてあげる。音読の途中で注意されると、そのあとの音読が緊張したものになり、読むことが苦痛になるそうです。
子どもが読み終わったあとに、親が読み聞かせることで、自然と間違いを正してあげるといいそうです。
参考文献はこちら☟
子育てのエビデンスがたくさん詰まっています。
懐メロで楽しく音読
本の音読は飽きてしまうとパパコアラに相談すると、J-POPの音読をすすめられました!
J-POPでの音読ってことは、カラオケしてるのと同じ!
カラオケの効果
カラオケの効果は?
カラオケで歌を歌う時、モニター画面の歌詞を見ながら歌う人が多いと思います。実はこの行為、脳をバランスよく鍛えて活性化させることに一役買っているのです。
メロディーを聞くことや楽器を演奏することに関わる音楽中枢は右脳にあり、モニターを見て歌詞を追う言語中枢は多くの人が左脳にあります。歌詞を追いながら歌を歌うことで、左右の脳をバランスよく使うため脳を活性化させてくれます。
引用サイト ウィルオブスタイル様
調べてみると、カラオケは左脳・右脳バランスよく使うため脳が活性化するという意見と、音読ほどの効果はないという意見、さらに歌って踊ることで体も使うから記憶力もあがるといった意見までありました。
私個人としては、「歌詞をすでに暗記している場合、音読のような育脳効果は得にくいんじゃないか」と推測しています。
そこで結論!
「メロディーは覚えているけど歌詞は覚えていない」というような曲でカラオケすると、最大の育脳効果が得られるかも!!
音読練習の実際
漢字にフリガナがふってある歌詞サイトUta Tenを利用しています。
音読のメリットを知れば、前向きに宿題の音読にお付き合いできると思います!
一緒に楽しく頑張りましょう!
こちらも小学校の宿題の定番!
漢字の書き取りにお悩みの方はこちら☟