私が金利に注目し始めた理由
コロナショック後の金融緩和を受けて、2021年春、ダウ、S&P500、ナスダックの主要3指数は最高値を更新し、ハイグロと呼ばれるハイパーグロース株の株価が何倍にも急騰!
そんな中、金利がじわじわ上昇。
「金利が上がればグロース株は下げる」とツイッターがにぎわい、実際、金利の上昇した日にはグロース株は下げるということが続きました。
恥ずかしながら、私には意味が分からず…。
そこで金利に興味をもち、調べてみることにしました!
ちなみに、
金利が上がればグロース株が下げる理由はこちら☟
グロース株は基本的にPERが高い
⇒そのためPERのが逆数である株式益利回り(益回りとも言う。1株当たりの純利益を株価で割ったもの)が低い
⇒金利が上昇し、高PERグロース株の低い益回りと債券の金利が同じになったら、より安全な債券が買われる
⇒したがってグロース株が下がる
金利について
金利とは
金利とは、お金を借りた時に支払う「お金の貸借料」のことです。
(お金の借り手は、借りたお金+金利を返す)
そして、金利はお金の貸し手と借り手の関係、つまり需給と供給で決まります。
金利水準は、卸売市場の価格のように金融市場で形成され……。
ここからの話は難しく、スキップしても投資に影響しないと考えるので割愛♡
金利には「短期金利」と「長期金利」があります。
短期金利
短期金利は、1年未満の金融資産の金利をいい、政策金利も短期金利にあたります。
政策金利とは、各国中央銀行(アメリカ:FRB、日本:日銀、EU:ECBなど)が景気や物価の安定のために行う金融政策によって決められます。景気がいい場合には高く(利上げ、引き締め)、景気が悪い場合には低く(利下げ、金融緩和)設定されます。
それによって、市中のお金の流通量を変化させ、景気や物価をコントロールしようとしています。
金利は、為替よりも経済に及ぼす影響が大きく、短期間の大幅な変動は、経済を大混乱に陥れる危険性が高い。
引用文献:世界一わかりやすい金利の本 かんき出版 著者 上野泰也
そのため、短期金利(政策金利)は簡単には動かないという特徴があります。
短期金利はゆっくり動く
以後当ブログでの短期金利は、アメリカの政策金利のことを指します。
長期金利
長期金利は、償還期間の長い債券や満期までの期間が長い金融資産や負債の金利のことです。一般的に、期間は一年以上。
長期金融市場の中心は債券市場になります。
以後当ブログでの長期金利は、米国10年債(US10Y・米国債10年)の金利のことを指します。
長期金利は経済成長率と連動している。
長期金利は経済の高成長期には高く、低成長期には低くなる。
引用文献:世界一わかりやすい金利の本 かんき出版 著者 上野泰也
また、債券には、金利が上昇すると価格は下がり、金利が低下すると価格は上がる特徴があります。
ということは、株式市場にお金が流れて、債券市場からお金が抜けると、金利はあがる!
長期金利と株式市場は蜜月の関係♡
長期金利は景気の変化に合わせて迅速に動く
ここまでの記事は、こちらの本を参考に書きました☟
金利について、基礎からプロの視点まで網羅されています。
市場サイクルを見極めるために金利を使う!
ここからは、こちらの本を参考に書いていきます☟
「金利を見れば投資はうまくいく」の著者 堀井正孝さんは、著書の中で、3つの金利を見るべきとおっしゃっています。
投資に役立つ3つの金利
- 短期金利
- 長期金利
- 社債利回り
※短期金利、長期金利については上記「金利について」をご参照ください。
社債利回りとは、債券市場におけるその社債(企業が発行する債券)の流通利回りのことで、企業が今日資金調達をする場合のコストです。
社債の発行体は企業となるため、企業ごとに社債は存在し、それぞれ流通利回りは異なります。
引用文献:金利を見れば投資はうまくいく 株式会社クロスメディア・パブリッシング 著者:堀井正孝
なぜ社債利回りを見るの?
社債は企業ごとに発行されるものなので、社債利回りは個々の企業の信用力に左右されます。
社債利回りをみる理由はここにあり!
誰だって信用力のない会社にお金貸したくないですよね?返ってこない可能性がありますから…。
しかし、景気の拡大局面では、銀行は信用の低い会社にも積極的に融資をします。
反対に、景気後退局面では、信用の低い会社への融資を減らすため、信用の低い会社が資金調達するコスト(社債利回り)が高くなります。
ということは、信用の低い会社の社債利回りの推移をみれば、景気動向が掴めるってこと!
企業の信用力は、格付会社(ムーディーズ、S&P、フィッチなど)にて格付けされています。
格付け会社によって、企業の信用度を表す表記は違いますが(例:ムーディーズはAaa~C、S&PはAAA~Dなど)、投資適格水準~投機的水準に格付けされています。
私が注目するのは、投機的水準の会社の社債(ハイイールド社債)です。
ハイイールド社債の利回りは、銀行の貸し渋りを反映しやすく、つまりは景気後退局面を予想するのに役立つからです。
そこを利用して、市場サイクルを予測するのです!
3つの金利の使い方
私がフォローする金利は、アメリカの政策金利と米国3か月債・1年債利回り(短期金利)、米国10年債・20年債利回り(長期金利)、ムーディーズBaa社債利回り(社債利回り)です。
これらを組み合わせて、市場サイクルを予測してきます。
長短金利差
一般的に、長期金利は短期金利より高い傾向にあります。
その理由は
期間リスクプレミアムです。期間が長い方が、その間にどんな経済変動があるのかわからないため、リスク分が上乗せされます。
また、基本的に毎年物価は上がる(インフレ)と予想されていることも一因だそうです。
ところが、
長短金利が逆転する時があります。
「逆イールド」です‼
長期金利は、景気後退を遠くに感じると利下げを予測し大幅に下げ始めます。しかし、上に書いた通り、短期金利は素早く動けません。
つまり、高いところにいた長期金利が下がり、景気拡大のために利上げしていた短期金利は高いままということになります。
そのため逆転現象が起きてしまいます。
長短金利差1%割れは注意、0%割れ(逆イールド)は警告‼
ただし、長短金利差が0になったらすぐにリセッション(景気後退局面)が訪れるというわけではなく、実際に景気後退入りするのは1年以上、もしかしてそれ以上?の可能性も…。
やはり未来はわからない…。
実際に株価の上昇が始まると、徐々に投資家の心理が変わっていき、最後には、全員が株価の上昇を疑わなくなる。
全員が楽観論者になった時が株価のピークなのだが、そこに到達するまでの時間は意外なほど長い。
引用文献:株で勝ち続ける人の常識 負ける人の常識 (KADOKAWA)著者 加谷 珪一
株は上げるときはゆっくりだけど、下げるときは急激!
すごくこれを思い出します…。怖い…。
長短金利差はトレーディングビューというアプリでフォローしています。
US10Y(米国10年債)とUS01Y(米国1年債)利回りのチャートです☟
アメリカの長短金利差はこちらのIR BANKも見やすいです。
社債スプレッド
社債利回り−国債利回り=社債スプレッド(%またはbp)
※bp(ベーシスポイント)=0.01%
景気が悪いと社債スプレッドは拡大‼
そして、信用度の低い会社(格付けの低い会社)ほど、それは如実に表れます。
私は暴落のサインを見つけるために、ムーディーズのBaa社債利回りを確認します☟
DBAAが20年以上の債券に基づいた利回りのため、米国債20年と比較します(同年限で揃える)。
株価上昇時の社債スプレッド拡大は要警戒‼
社債スプレッドの動向をもっとはやく知りたい人は、スワップスプレッドをフォローするのもおすすめだそうですが、私はそこまで分析力がないので割愛!
こちらの本に詳しく載っています☟
金利から暴落のサインを読み取る
長短金利差と社債スプレッドを利用し暴落のサインを読み取る方法を書いてきましたが、もちろん、金利動向からリスクオン入りの兆候を読み取ることもできます。
ただし、私は暴落買い・逆張り投資を好むので、買いのタイミングは株価と悪材料の理由で判断します。
買った株がしばらく上がらないという状況に耐えることはできるので、リスクオン入りの早期発見のための金利はみません。
暴落のサインを発見するためだけに金利を確認します。バブルは意外に長い!という言葉通り、できるかぎり利を伸ばしたいので、暴落サインを見つけるまでは株をホールドし、暴落サインを見つけたらポジションを解消(持っている株を売る)、現金で冬の時代を乗り切りたいのです。
私は暴落局面の金利についてしか書いていませんが、データに基づいた金利と景気の関係はこちらの本にとても詳しく載っています。
必読です!
また、こちらの本で学んだ面白い知見として、
欧州の景気動向を知るためには、「スペインのような経済的に不安定な国の国債利回りと欧州で一番の経済大国ドイツの国債利回りのスプレッドをみる」というものがありました。
欧州を1つの国と考えて、社債スプレッドと同じ考え方でアセスメントします。
個人投資家こそ金利を見るべき!
個人投資家で企業分析に力を入れている人は多いですが、金融マーケット全体をチェックしている人って意外と少ないと感じます。
しかし、個人投資家が個別の企業分析だけでプロの証券アナリストと勝負しようとしても、どうしてもプロの情報量には劣ります。
金融マーケットの教科書の著者 真壁昭夫氏は、
個人投資家に適しているのはトップダウンの見方です。
世界全体でどの地域、どの国の成長が高まりやすいのかを考え、どういった企業の株価が上昇しやすいのかを予想するのです。
引用文献:金融マーケットの教科書 徳間書店 著者:真壁昭夫
トップダウンアプローチ:個々の企業動向を考えるよりも、まず、経済全体の動きを考えること。経済全体の動きを分析し、当面の展開を予想する。(同書引用)
こちらの本では、株式、為替、商品、金利などを用いた投資戦略が書かれています。
初心者の私でも読みやすかったです。
金利上昇時は株は買うべきではない?
インフルエンサー(?)のある方が、株は金利が7割、業績が3割とよくツイートされていましたし、金利上昇時は相場全体が下落していたので、金利上昇時は株にメリットはないと思い込んでいました。
過去の研究では、金利上昇時はバリュー株や高配当株は指数をしっかりアウトパフォームしたという結果がでているそうです。(※1967年~2003年で金利は4%~16%、その時のS&P500+6%、バリュー+14.5%、高配当+10.7%)
金利上昇局面は株を買わないのではなく、バリュー株にシフトさせるというのも面白いなと思いました!
どうしてバリュー株は金利が急騰しても好調だったのか?詳しくはこちら☟
最後までお読みいただきありがとうございました!
私の証券口座の使い方はこちら☟